カガンズワンダースキャンプ

生きもの? 生きてる? しゃべる? 意思がある?
影のようで影じゃない
まるであなたの心をうつす鏡
カガンズはそんな不思議な子たち

今日はキャンプで全員集合です。

 

1.朝日

今日はコテージからカガンズの一日が始まります。
とはいっても、まだ太陽は昇っていません。

そんな早朝に起きて活動し始めたのは、センです。
センがお布団をたたむ音で、マルがムクリと起きました。
「おはよう」と言って、センはマルに質問しました。

「自分は海に行って朝日を見に行くけど、マルも一緒に来るかい?」
マルはまだ眠そうな表情を浮かべながら言いました。
「えぇ? こんな真っ暗な時間にセンは出かけるのかい?」
「ああ。じゃないと朝日が昇る瞬間が見られないんだ。もし、マルが行かないなら、一人で行くけど」
マルはセンが一人で行こうとするので、慌てて出かける準備を始めました。
(こんな暗い時間にセン一人じゃ危ない! ぼくがついて行ってあげよう)
気が気でないマルはそそくさと準備を整えました。

真っ暗な中、近くの浜辺を目指して二人は突き進みます。
「センはすごいなぁ、こんな真っ暗なのに恐くないのかい?」
「懐中電灯があれば、足元は暗くないから大丈夫さ」
慌てて準備したマルは、懐中電灯を忘れていました。
「やっぱり、センはしっかりしているなぁ」
ますます感心するマルでした。

ほどなくして、浜辺に到着しました。
そこには何も遮るものがなく、海が水平線の向こうまで広がっています。
太陽はひょこっと顔を出しつつあるので、ギリギリ間に合いました。

二人は横に並んでちょこんと砂浜に座りました。
だんだんと太陽が昇って空が明るくなってきます。
「わぁ、だんだんと明るくなってきたね! キレイだなぁ…」
「そうだろ? 太陽のこの瞬間は特にキレイなんだ」

リラックスしてきた二人は、次第に無言になり、うとうとし始めました。
気づけば二人は座ったまま寝てしまいました。

朝早く起きることはいいことですが、皆さん、二度寝をしちゃっていませんか?

 

 

2.丘とお布団

今日はとてもいい天気。雲一つない快晴です。
バーツはご機嫌な様子で空を眺めているようです。
「今日の空も清々しいな! 5点中4点だな!」
バーツは空の青さを五段階評価するのが日課。
高得点のお空でバーツはとても機嫌が良かったのです。
「ああ、ワガハイはもっと空に近いところで空を眺めたい!」
どこに行けばいいか、少し考えてさっそく走り出しました。
「よし! あの丘に行ってみよう!」

迷わず走っているバーツを見かけたブイが声をかけました。
「あれ? バーツ、どこいくの?」
「ワガハイは行くのだ!」
バーツが指差している方向には高い丘がありました。
「ふぅん? あの丘? 面白そうだからブイも行こうかな」
ブイはバーツのあとを追いかけました。

「なんだか、お外がにぎやか。なんだろう?」
朝が来てもお布団にくるまっているモフ。もそもそとお布団を出て、コテージの外を眺めました。
すると、猛ダッシュしている二人を見つけました。
「バーツとブイだ……走ってる……まぁ、いいや寝よ」
そう言うと、モフは再びお布団にくるまってしまいました。
「お布団はいいねぇ…とってもフカフカ…ぬくぬく…」
むにゃむにゃとお布団を褒めている間にモフは夢の中です。

それはそうと、バーツとブイは猛ダッシュで駆け抜けてついに丘の頂上に着きました。
そこから見る風景もお空もとてもいい眺め。
バーツは丘の中心に寝転んで、お空を眺めます。
ブイはひらひら舞うアゲハチョウを見つけて、追いかけはじめました。

今日はいい天気。皆さんはお布団とお外、どちらが好きですか?

 

 

3.お昼のメニューは?

正午がやってくる少し前、お昼ご飯が恋しくなる時間帯。
みんなのお昼を準備しているのは、フロッケとコワイ、そして、テイルでした。

三人はメニューをどうしようかと悩んでいる様子です。
コワイは言います。
「昼だからな、ちゃあんと栄養がしっかりしたものを食べたほうがいいよなぁ」
テイルは少し困っています。
「それはそうですけど、皆さんが食べたいものを食べるのも大切かと……」
そう言われると、コワイも強く言い通せません。
自分の主張もテイルの主張も、どちらも正しいと思えるからです。
「ううん、だけどよう。全員に違う料理を用意するってんのは、オレにはできねぇよ?」
コワイが言うのもごもっともで、テイルも悩んでいます。
「そうなんですよね。何かメニューを決めないと全員分は無理ですよね……」
二人はどうしたものかと、一生懸命考えています。
そこで気が付きました。
フロッケが一切会話に入っていないことに……
「フロッケ。おまえさん、何か食べてぇものはあるかい?」
コワイがそう尋ねました。
何か、いいアイデアがもらえるでしょうか?
「そうだねぇ。ボクはどんなものでもいいよ。食事は、ただそれだけでありがたいことだよ」
コワイとテイルはきょとんとしています。
「いいかい。コワイ、テイル。食事を頂くということは、作ってくれた人に、そして、食べ物に感謝するということなんだ」
「「…………」」
コワイとテイルは圧倒されます。
フロッケは構わず続けます。
「どんな食事であろうと、感謝の気持ちを忘れずに頂くことができればそれでいいんだよ。それが命を頂く食事という行為なのだから…」

フロッケの言うことはごもっともでしたが、メニューが決まっていないことに気が付いた三人は大慌て。
急いでみんなのお昼ご飯に取り掛かりました。間に合えばいいですね。

皆さんは、食事をする前に「いただきます」と食事をした後に「ごちそうさまでした」と言っていますか?

 

 

4.角と花かんむり

お昼下がりの原っぱでホーンがしょぼくれていました。
「どうしたんだい、ホーン? こんなところに一人で」
グナーが原っぱでうずくまっていたホーンに声をかけてきました。
「グナーさん…グナーさんは、私が恐いと思われますか?」
「なんだい、急に?」
よくわからないといった様子でグナーは身体を傾けます。
ホーンはとてもしょんぼりした様子で話をしました。

「さきほど、私の角が木の枝に当たってしまい、鳥さんやリスさんが逃げてしまったのです……」
「ふーん、そうなのかぁ……」
グナーは下を向いてもぞもぞしながら話を聞いています。
(グナーさんがそうしているということは、グナーさんも私の角を見るのが恐いのでしょうか……)
ホーンは不安になりました。
「大きくて、周りを傷付けそうな角だから。だから、恐がらせてしまうんですね?」
「そうだね。そういうこともあるかもね」
相変わらず、グナーは下を向いたままです。
(やはり、私の角は恐いのですね……)
ますます不安になるホーン。
「ホーン、頭をちょっとこっちに下げて?」
グナーが不意にそう言ってきました。
「え? 頭を下げればいいのですか?」
「そうだよ、いいから下げて? そうしないと僕は届かないんだ」
「あ、はい……」
よくわからないまま、ホーンは頭を傾けました。角がグナーにぶつからないように少しだけ。
すると、グナーはホーンの頭に花で作ったかんむりをちょこんと乗せてくれました。
「僕は恐いと思ってないよ。むしろ、ホーンの角はかっこいいって思っているよ」

グナーが下を向いていたのはかんむりを作ってくれていたからだったのです。
「ありがとうございます……グナーさん」
嬉しそうにグナーは満面の笑みを見せます。
互いを思いやるホーンとグナー、優しいですね。

相手を思いやる気持ち、大切にしたいですね。

 

 

5.散らかった部屋の中で

おやつ時も終わった時間帯、ロクメは自分にあてがわれた部屋で慌てていました。
「ない! ない! ない! お気に入りのブレスレットが見つからない!」
どうやら、部屋に荷物を散らかしていてアクセサリが見つからないようですね。

そこに通りかかったのが、マーチでした。
「あれれのレ? ロクメ、どうしたのぉ?」
「ああ、マーチ! いいところに! 手伝ってもらえますか!」
わらにもすがる思いでマーチに頼み込みます。
「あららん、とても大変なご様子。いいよぉ、マーチさんが手伝ってあげませう」
「ありがとう、助かるよ!」

二人はロクメの部屋で荷物の整理を始めました。
「それにしても、ロクメ氏の荷物はロマンがいっぱい詰まっているね。あ、これなんだろ。面白そう」
「あわわ! それはいじらないで! 壊れたら私泣いちゃう!」
マーチはロクメが持ってきた荷物に興味津々で片付けどころではありません。
ロクメはマーチを止めることに必死になり、やはり片付けどころではありません。
これではアクセサリは見つかりそうにないですね。どうするのでしょう。

なんやかんや騒ぎながらも、二人は少しずつ片付けていきます。

ふと、マーチがとある箱をロクメに見せてきます。
「やぁやぁロクメさんや。この可愛い箱はなぁに?」
「それは、あ! それだよ、私が探してたのは!」
「おやおや探し物はこちらでしたかん。中身を拝見させて頂きまする」
マーチが箱を開けると、中からブレスレットが出てきました。
「ああ、よかった! マーチ、見つけてくれてありがとう」
「礼には及びません。マーチさんは楽しかったのでよいのですん」

無事にブレスレットが見つかってよかったですね。
皆さんは、片付けできていますか? たまには片付けするのもいいですね。

 

 

6.みんなで食べよう

 時間は夕暮れ時、太陽が沈んでいくところです。

「「たき火はいいねぇ。なんでこんなに落ち着くのだろう」」
マルとセンはコテージの庭でおこしたたき火を眺めながらボーっとしています。

バーツとブイは仲良く丘から歩いて帰っています。

モフは今日一日お布団にくるまって寝ています。

フロッケ、コワイ、テイルはたき火の横で晩ご飯の準備に取り掛かっています。

グナーとホーンは笑顔で手をつないでコテージに向かっています。

マーチとロクメは部屋でブレスレットの見せ合いをしています。

コテージの庭からいい匂いがします。そろそろ晩ご飯ですね。

マルとセンが仲間たちに呼びかけます。

「「みんな! ご飯できたってさ! 一緒に食べよう!」」

こうしてカガンズの一日は過ぎていくのでした。

皆さん、今日はどんな一日でしたか?

 

 

 

文:小鳥遊悠司
絵・監修:いぜむ( https://ithem-noramoyo.com/ )