「久しぶり、一年振りかな?」
後ろに手を組んで、首を傾げながら優しく微笑む少女。
昼過ぎに待ち合わせた相手は、こんな暑苦しい夏なのに涼しげな振る舞いをしている。
整った顔立ちを隠すように麦わら帽子を被っていて、ロングヘアーの容姿に似合っている白いワンピースを着こなしている。
「ああ、それくらいだね」
俺は懐かしさを感じながら返事をする。
俺は彼女の名前を知っている。誕生日も知っている。好きなスイーツも知っている。
何故なら、彼女は一年前まで俺の恋人だったのだから。
一年前、最後に会った時と容姿も雰囲気も何もかもが変わっていないことに胸が高鳴った。
「和義くん、どうしたの?」
怪訝そうに少女は俺の顔色を窺う。照れくさくて、目を逸らす。
「いや、なんでもないよ。久しぶり、楓」
楓は意地悪そうに見上げるように俺を見つめる。
「私が元カノだからって、顔を忘れちゃってたわけじゃないでしょ?」
「そ、そんなことあるわけないだろ」
まるで、見透かされたように感じて、ついまた目を逸らしてしまった。
それにしても、どうして楓は一年振りに会いたいと言ってきたのだろうか?
俺たちは一年前に別れて以降、一切連絡を断っていたのに……
もちろん、俺からは連絡を取らなかった。取れなかったと言うべきか。
俺は彼女の電話番号や住所などの情報を全て消去したり、捨ててしまったのだから。
だからこそ、楓の方から電話がかかってきた時は本当に驚いた。
『また、会いたくなっちゃった。一度だけ会えないかな?』
楓から振っておいてそれはないだろ、って思ったけど、どうしても会わないといけない気がした。
本当なら断るつもりだったけど、何故か応じてしまった。
そして、今日が再会の日だった。