小説

ドッペルさん

ああ、退屈。何か変化が起きて欲しいと思う。退屈ならそれを解消すべく行動すればいいと言う人もいるだろうけれど、私にはそれが出来ないからこそ退屈なんだ。みんなだったら、外出して友達とたわいのない会話をしながら街を練り歩き、ちょっとした買い物を楽…

未来視の声

「ニクスモールで幽霊にでくわしたぁ!?」口に運ぼうとしたコーヒーカップを止めた友人。「そう! しかも、オープン当日だったのよ」私は矢継ぎ早に続ける。「壁を突き抜けて出てきたのよ!!」変わらず、友人はカップを口元で止めたまま、あんぐりと口を開…

既視感の色

「ニクスモール、ただいま開店です!」長く退屈なオープニングセレモニーが終わり、やっと店内に入れる。この地域ではもっとも広いショッピングモールの開店初日だ。開店初日なら何か目新しいものがあるだろうか?ありきたりでつまらない私の世界の中で……私…