まず、私たちはフードコートで一個の大きなパフェをつつき合った。時間も午後三時過ぎだったのでちょうど良かった。やたらと、美里がドッペルさんに突っかかるのが面白くて、私と春香はそれを見て楽しんでいた。
先ほど、ドッペルさんの大捕り物になったCDショップでは、ドッペルさんが試聴した中で薦めてくれたCDを聞かせてもらって、特に気に入った曲を購入した。私の分身なだけあって好みも一緒のようで、厳選してくれたものはどれもいい曲だった。
購入の際に、店員さんがあまりいい顔をしなかったので大捕り物のせいだろうと思うと、ドッペルさん以外の全員が気まずい顔になった。
カジュアル衣料品店に向かう途中エスカレーターに乗った時、ドッペルさんが自分と私のジャージを指差しながら、「雅美は、こんな服しか着ないからつまんないのよ。オシャレとは行かなくても、無難な服ぐらい着なさいよ」と、愚痴をこぼした。
そんなことを言われても、引きこもりだからジャージで充分じゃないのよ。
反論してみたものの、ドッペルさんの意見に、美里と春香は同意したので、お店では簡単ではあるけど、服を見繕ってくれた。
自分で買おうとしたけど、二人が「今日、頑張ったことをお祝いしたいから買わせて」と強く言われた。せっかくなので、お言葉に甘えさせてもらうことにした。
本屋にもよってライトノベルや漫画を物色した。その間、美里が参考書コーナーを避けようとしたので、私とドッペルさんが両脇を抱えてコーナーに連行した。意外と、息が合うもんだと感心しちゃった。
ショッピングモール内をほとんど見て回ると、最後に晩御飯ということでもう一度フードコートに立ち寄った。
食事の前に、それぞれ家族に晩御飯はいらないという旨を電話なりメールなりで伝えておく。
私は、メールで母さんに伝えた。返信メールは数分で届いた。
『美里ちゃんと春香ちゃんが一緒なら大丈夫ね。しんどくなる前に早く帰ってくるのよ。今日は無理矢理外に連れ出して悪かったわ。じゃあ、久々の外出を楽しんでらっしゃい』
なんだかんだで母さんも私を気に掛けてくれているとわかって、嬉しかった。
そのメールを三人に見せると、みんなが「良かったね」と笑顔で言ってくれた。