ドッペルさん - 5/23

私が目を覚ましたのは、傍に置いていたケータイが鳴っていることに気が付いたから。

音楽プレーヤーもすでに曲を流し終えていて、自動で電源が切れていた。

まぶたをこすりながら、ケータイを手に取る。着信は春香だった。

「もしもし、春香?」

「ええっと、雅美ちゃんだよね」

それはそうだ。だって、春香がかけているケータイは紛れもない私のケータイなのだから。

何を言っているんだろうと、首を傾げる。それよりも、春香の慌てようが気になる。

「私だけど、どうしたの?」

「雅美ちゃん、今日、外出した?」

「ううん、してないよ」

「そうだよね。やっぱり、私たちの勘違いかなぁ……」

「え、どういうこと?」

私は、春香の慌てている理由がよくわからなかった。私がどうしたというのだろうか?

とりあえず、慌てふためいている春香をなだめることを優先して、落ち着いてもらってから事情を聴くことにした。